青春小説をまとめました。著者は、朝井 リョウ、斜線堂 有紀、谷崎 由依、姫野 カオルコ、町屋 良平、米澤 穂信、綿矢 りさ、今村 夏子、奥田 亜希子ほか。
スター
スター
朝井 リョウ
内容紹介
新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した尚吾と紘。2人は名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。作品の質や価値は何をもって測られるのか…。
『朝日新聞』連載を加筆し単行本化。
著者紹介
1989年岐阜県生まれ。「桐島、部活やめるってよ」で小説すばる新人賞、「何者」で直木賞、「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞受賞。
ゴールデンタイムの消費期限
ゴールデンタイムの消費期限
斜線堂 有紀
内容紹介
書けなくなった高校生小説家・文彰に、若き天才を集めて交流を図るプロジェクトの招待状が届いた。だが、その真の目的は、人工知能とのセッションを通じた、自分たちの「リサイクル計画」であることが明かされ…。
幼くして天才と呼ばれた若者たちの苦悩や希望、友情とその後を描いた一冊。流れるように進む放しはとてもページを捲る指が進む。人工知能とのつきあい方という点でも新しく面白い本。
遠の眠りの
遠の眠りの
谷崎 由依
内容紹介
女工として働く絵子は、百貨店の支配人と知り合う。百貨店には専属の「少女歌劇団」があり、絵子は「お話係」として雇ってもらうことに。看板女優・キヨと仲良くなるが、実は彼女は…。
『すばる』連載を加筆修正して単行本化。
田舎の戦前戦中が舞台の物語。主人公の心の動きが冷静でとても現実的。でも、同じ立場だったらそうなっちゃうかも。耐えるのは苦しい。反発するのも苦しい。
彼女は頭が悪いから
彼女は頭が悪いから
姫野 カオルコ
内容紹介
女子大に進学した美咲と、東京大学理科Ⅰ類に進学したつばさ。ふたりは恋に落ちたはずだった。渦巻く人々の妬み、劣等感、格差意識。そして起こった集団わいせつ事件。しかし、世間に叩かれたのは被害者の美咲のほうだった…。
著者情報
青山学院大学在学中に作家デビュー
第150回直木賞受賞
カバーと内容に齟齬がありすぎてビックリすぎる。。。失敗を知らないエリート東大生を自負する男子学生と、劣等感や責任感で他人の顔色を伺いながら生きている女子学生が、触れ合い、違えていく様は、何とも言えない虚しさがある。人を卑下して陥れてはいけない。激しくそう思わせる一冊。中途半端なエリートにこそ読んでもらいたい本。
ショパンゾンビ・コンテスタント
ショパンゾンビ・コンテスタント
町屋 良平
内容紹介
おれは音楽の、お前は文学のひかりを浴びて、腐ろう。ゾンビになろう-。音大を中退したぼくは、魔法のようなピアノを奏でる同級生に恋をしていて…。才能と絶望と恋と友情をめぐる青春小説。『新潮』掲載を単行本化。
著者情報
小説執筆,第160回芥川賞・受賞
物語の描写が特徴的で読み慣れるまで歯痒い。音楽に造形の深い人ならすっと読めるだろうが、学生時代の音楽が評価2だった私には縁遠い言葉がたくさんあったように思う。映像化されたらもっと理解が進むかもしれないし、登場人物らの気持ちもわかり得るかもしれない。
本と鍵の季節
本と鍵の季節
米澤 穂信
内容紹介
高校2年の図書委員、次郎と詩門は、先輩から亡くなった祖父が遺した金庫の鍵の番号を探り当ててほしいと言われ…。図書室に持ち込まれる謎に、ふたりの男子高校生が挑む。全6編を収録。
『小説すばる』掲載に加筆し単行本化。
機転の利く図書委員2人が次々と違和感から生じた謎を解決していく図書にまつわる学園ミステリー。私もこんな頭の回転がほしい。
私をくいとめて
私をくいとめて
綿矢 りさ
内容紹介
黒田みつ子、もうすぐ33歳。もう一人の自分「A」に脳内で何でも相談できるから、一人で生きていくことに抵抗はないと思っていたのだが…。同世代の気持ちを描き続けてきた、綿矢りさの真骨頂。
金原ひとみの解説あり。
映像化された綿矢りさの小説。きっと映像のほうがより面白いと思う。
星の子
星の子
今村 夏子
内容紹介
林ちひろは中学3年生。出生直後から病弱だった娘を救いたい一心で、ちひろの両親は「あやしい宗教」にのめり込んでいき、その信仰は少しずつ家族のかたちを歪めていく…。
『小説トリッパー』掲載を単行本化。
渦中にあるときは純粋であればあるほど怪しいことを疑わない疑えないもどかしさを描いた一冊。違和感と環境への反射について考えさせられる本。
純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語
純真なエレンディラと邪悪な祖母の信じがたくも痛ましい物語
ガルシア=マルケス中短篇傑作選
ガブリエル・ガルシア=マルケス
内容紹介
世界一美しい鳥かごを作った大工、中庭で見つかった年老いた天使、朽ちることのない少女の遺骸、割れた電球から流れ出す金色の光…。世界文学最高峰が創りだす多面的な魅力を凝縮した新訳アンソロジー。全10編を収録。
著者紹介
ガブリエル・ホセ・デ・ラ・コンコルディア・ガルシア・マルケス(Gabriel José de la Concordia García Márquez, 1928年3月6日 – 2014年4月17日)は、コロンビアの作家・小説家。架空の都市マコンドを舞台にした作品を中心に魔術的リアリズムの旗手として数々の作家に多大な影響を与える。1982年にノーベル文学賞受賞。
唯一の身内である祖母であるがゆえにまだ未成年のエレンディラは虐待や売春に逆らうことができない。時代が変わっても普遍的な残虐な物語に胸が苦しい一冊。
しき
しき
町屋 良平
内容紹介
夢もなければ特技もない、クラスの人気も興味ない。フツーの高校2年生・星崎は、ある日、河原で暮らす友人・つくもから、子どもができたと打ち明けられて…。
『文藝』掲載を単行本化。
環境の異なる友人とその変化に戸惑う心がよく描かれていた作品。若いなあ。
五つ星をつけてよ
五つ星をつけてよ
奥田 亜希子
内容紹介
既読スルーなんて友達じゃない、と思ってた-。手のひらサイズのインターネットで、知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離をかろやかに描く物語。
『小説新潮』他掲載を書籍化。
価値観が多様化するなかで自分の譲れないものとマスとの乖離に悩んだり、知らず知らずに流されたり、違和感を感じながら生きる若者を描いた一冊。この本も今の時代をとても反映しているものだと思う。