アイドル・アーティストが書いた小説

ライブやコンサートなどの音楽シーン、テレビのバラエティ番組などで活躍する、アイドル・アーティストが書いた小説をまとめました。


加藤シゲアキ/オルタネート


オルタネート
加藤 シゲアキ


内容紹介
高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京の高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していき…。悩み、傷つきながら<私たち>が「世界との距離をつかむまで」を描く。『小説新潮』掲載を加筆し書籍化。

著者紹介
1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒。NEWSのメンバーとして活動しながら「ピンクとグレー」で作家デビュー。ほかの著書に「閃光スクランブル」など。

とある高校を舞台にいろいろなストーリーが同時進行していく。悩みや葛藤、モヤモヤを抱えながらぶつけながら生きていく若者は眩しくまさに青春。後半になるにつれて疾走感が増し、登場人物たちが生き生きと動き出してくる。気持ちのいい一冊。


松井玲奈/カモフラージュ


カモフラージュ
松井 玲奈


内容紹介
メイドになりたい一心で上京した18歳の“いとうちゃん”は、メイド喫茶で働き始めるものの、ストレスから体重が増加して…。恋愛からホラーまで、松井玲奈のデビュー短編集。『小説すばる』掲載に書き下ろしを加え書籍化。

著者紹介
1991年生まれ。愛知県出身。役者。

女優、タレントであり、女性アイドルグループSKE48および乃木坂46の元メンバーである筆者がこれほどまでのバイタリティーと文才を持ち合わせていたことに正直驚いた一冊。どの短編も食い入るように読み込んだ。若いのにいろいろな年代の人物やシチュエーションを描き分けていて、スゴい。

MEMO

俺思うんですけど。引きずるのはしょうがないと思いますよ。だって、その人のことを好きだった自分でここまで生きてきたんですから。その気持ちは嘘じゃないわけですよね。だったら無理に忘れるんじゃなくて、その自分を好きであげてくださいよ。

MEMO

好きだった時間が長い分、その人が自分の体に染み付くんですよ。好きなもの、苦手なものもそうだけど。その積み重ねで俺たちは生きてるんだと思うんですよね。


モモコグミカンパニー/御伽の国のみくる


御伽の国のみくる
モモコグミカンパニー


内容紹介
アイドルの夢破れ、メイド喫茶でバイトの日々。働き始めてからもう2年。年齢は永遠の17歳、ではなく、満26歳を迎える。裏切り、妬み、失望の果てに、友美が見つけた答えとは?

著者紹介
楽器を持たないパンクバンド「BiSH」の結成時からのメンバーで最も多くの楽曲で歌詞を手がける。読書や言葉を愛し、独特の価値観や世界観を持つ彼女が書く歌詞は、圧倒的な支持を集め、作詞家としての評価も高い。2018年3月に初の著書『目を合わせるということ』を上梓し、大ヒットを記録

コンプレックスを抱えながらも自分の夢と好きに忠実である主人公が、周りからの蔑みや心無い言葉に耐え、迷いながら奔走する物語。これをBiSHのモモコグミカンパニーが描いたというから驚きである。

肩書を思い出さなければ、まったく気付かないほど小説に没頭してしまう没入感があるし、本人と重なって思える部分もない。ココロがぐちゃぐちゃになるさまもうまく描かれていて、面白かった。


加藤シゲアキ/ピンクとグレー


ピンクとグレー
加藤 シゲアキ


内容紹介
絶望的に素晴らしいこの世界に、僕は君と共にある…。芸能界を舞台に、ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみのふたりの青年の愛と孤独を描いた青春小説。著者のスペシャルインタビューを収録。

著者紹介
1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒。ジャニーズ事務所のアイドルグループNEWSのメンバーとして活躍。「ピンクとグレー」で作家デビュー。

読み進めていくうちに、あの事件を思い出した。芸能人として生きていくこと、生身の自分、嫉妬や割りきれない感情が詰め込まれている一冊。ジャニーズ、NEWS、アイドルが書いたという情報ばかりが先走ったが、読み応えあったし面白かった。胸に、ズドンとくる。


高山一実/トラペジウム


トラペジウム
高山 一実


内容紹介
絶対にアイドルになりたい高校1年生の東ゆうは、「4つのこと」を徹底して高校生活を送っているが…。「乃木坂46」のメンバーが描く、アイドルを目指す女の子の10年間。
雑誌『ダ・ヴィンチ』連載を単行本化。

著者紹介
1994年生まれ。千葉県出身。乃木坂46のメンバー。本書が小説デビュー作となる。

乃木坂46から初の小説家デビュー!ということで、当時現役トップアイドルだった高山ちゃんが、アイドルを目指すある女の子の10年間を描いた青春小説。

アイドルになりたい気持ちやアイドルとしての葛藤が、本当にみずみずしく描かれている。テレビで見る元気な姿とは、また一味違う彼女を見たような気がする。


松井玲奈/累々


累々
松井 玲奈


内容紹介
2年付き合った彼氏からプロポーズを受けた23歳の小夜。自分の年齢が結婚に適しているのかわからず、煮え切らない返事をしてしまうが…。松井玲奈による、たくらみに満ちた「恋愛」小説集。『小説すばる』掲載を加筆修正。

著者紹介
1991年生まれ。愛知県出身。役者。

前作(カモフラージュ)も面白かったけど、新作はより緻密な造りが素晴らしく、登場人物らのどろどろした感情もありありと伝わってきて、ああ、この人はアイドルや鉄ヲタ、バラエティタレントの枠に収まらない凄い才能をもってるなーと改めて好きになった。新しい作品が出たら、また読みたいと思う。


加藤シゲアキ/閃光スクランブル


閃光スクランブル
加藤 シゲアキ


内容紹介
アイドルの亜希子と、彼女のスクープを狙うパパラッチの巧。最悪と思われたふたりの出逢いは思いがけない逃避行となってーーー。渋谷スクランブル交差点を舞台に、「追う者」と「追われる者」の人生の交錯、愛と再生を描く。

著者紹介
1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒。ジャニーズ事務所のアイドルグループNEWSのメンバーとして活躍。「ピンクとグレー」で作家デビュー。

アイドルとゴシップという一般人には興味深いテーマだが、著者は現役アイドルであり、被害者にもなりえる当事者である。

それだけにこのテーマで1本書くには躊躇もあっただろうが、アイドルや芸能界からといった視点だけではなく、作中に出てくる人物それぞれが人間味あふれ、作者がどうとか気にする間もなく没入した。

行動ひとつひとつの描写も生々しく描かれていて、現実で見ているような気になって吸い込まれるように読んだ。

心の機微に触れるように寄り添い、最後には勇気をもらえる一冊。


尾崎世界観・千早 茜/犬も食わない


犬も食わない 
尾崎 世界観/千早 茜


内容紹介
どんなに一緒にいても、こんなにも分かり合えないのはなぜだろう。「だめな男」と「めんどくさい女」。同棲中の恋人同士の本音を、男女それぞれの視点で描く、共作恋愛小説。『yom yom』掲載に書き下ろしを加え書籍化。

著者紹介
◆尾崎 世界観
1984年、東京都生まれ。ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。2012年、アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。2014年、2018年に日本武道館公演を開催し、音楽シーンを牽引する一方、2016年に自身の本名を冠した初小説『祐介』を刊行し話題を集める。他の著書にエッセイ集『苦汁100%』『苦汁200%』などがある。

◆千早 茜
1979年、北海道生まれ。立命館大学卒業。幼少期をザンビアで過ごす。2008年、小説すばる新人賞を受賞した『魚神』(いおがみ)でデビュー。翌年、同作にて泉鏡花文学賞を、2013年『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞。同年に『あとかた』、2014年に『男ともだち』で直木賞候補となる。他の著書に『からまる』『西洋菓子店プティ・フール』『クローゼット』『正しい女たち』などがある。

「だめな男」を尾崎世界観が描き、「めんどくさい女」を千早茜が描く、リレー形式の共作が見事な小説。この2人はどうなっていくのかハラハラしている自分がいちばん揺れているようで恥ずかしくなってしまう。

MEMO

ふと、思う。大輔が死んだらあんな風に泣けるだろうか。もし大輔がベッドで冷たくなっていたら、驚きが先にくるだろう。それから、なんだか、ほっとする気がした。離れずに終われたことに。先のことをもう考えなくていいことに。そして、誰かに取られずに済んだことに。


加藤シゲアキ/できることならスティードで


できることならスティードで
加藤 シゲアキ


内容紹介
逃げるように、パリへ。祖父を見舞いに、岡山へ。こうして僕は旅に出た-。旅がテーマの作品全15編をまとめた著者初のエッセイ集。“旅する”掌編小説3編も収録。『小説トリッパー』掲載に書き下ろしを加えて書籍化。

著者紹介
1987年生まれ。大阪府出身。青山学院大学法学部卒。ジャニーズ事務所のアイドルグループNEWSのメンバーとして活躍。「ピンクとグレー」で作家デビュー。

次々と紡がれる叙情的な表現の連続にアイドルらしからぬ印象を受けるが、嵐の大野くんと一緒に釣りにいったとか、コンサート終わりにとか、おお、やはりアイドルなんだなとハッとする。それだけチャラついてない知的すぎる文章力に毎度驚かされる。私もそろそろ彼の印象は『歌って踊る方』ではなく『書く方』になりそうだ(笑)


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